第12走

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パシィン!とユオの後頭部が細い腕で叩かれた。 びっくりして涙が少しひっこんだ。 「アンタはねぇ、いい事言ってるのに言葉が無遠慮すぎるのよね!」 「お前の平手もなかなか無遠慮だけど」 ふんっ、と腰に手を当てるのはクラリス。 解せない顔をして叩かれた後頭部をさするユオを押しのけ、コアの手を握る。 「後悔する事は、悪いことじゃないわ。でも、そればかりしていると今を見逃しちゃうわよ」 「何事も、程々にだ」 クラリスの真っ直ぐな瞳と、それに頷くロッティ。 「せやなぁ。まぁ、受け入れるんは難しい思うけど、"自分がいなかったら"っち考えるんはいけんよ」 「死の概念がないこいつが言うのはなんだが、俺もそう思うぞ!少なくとも、俺はお前と出会えて楽しいからな」 少し口を尖らせるネムレス。 料理も美味いしな!と笑うリアン。 「私達も、エコが好きですわよ。コアさんも、これから仲良くしていきましょうね」 「これからの事を考えろ」 コロコロと笑うキャロルにグイドの腕が抓られていたのは見なかったことにした。 「ま、その人以外にも君を想っている人達がいることを忘れてはいけないよ」 「恐れながら申し上げます。貴方様はこれから、たくさんの事を体験するでしょう。ゆっくりでいいのです。前を向いてみると、軽くなるものですよ」 アルベルトとオリビアは、少し歳上だからか。 とても落ち着いた言葉をくれた。 「俺はいつでもお前を愛してるぜ」 「黙んねーとその口抉るぞ。……エコりんがいなかったらなんて考えたくねーし、その点ではお前にも感謝してやる」 「お、花枝ちゃんはツンデレか?あ、ちょま、やめろ!悪かったって!まぁ、誰のせいでもないんだから、自分を責め続けるのはもうやめろ、な?」 この場の全員の言葉を受け、ひっこんでいた涙が次から次へとこぼれ落ちて地面にシミをつける。 地面が涙を吸い込んでいくように、言葉が心に染み込んで、じんわり暖かくなる。 大丈夫。大丈夫。 江湖にもこの言葉達は届いている。 二人分の涙だからか、しばらく止まりそうになかった。 「「ありがとう」」 この言葉だけは、伝えたい。
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