第13走

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そして5分後。 「にいちゃん、何言ってるのかぜんぜんわかんない!」 「教えかたヘタクソかよ」 「こ、こらこら」 ご覧の通りである。 自分の何がいけなかったのか。 手元の参考書を見ながら首を傾げる。 「あ、あの……子供たちにはまだ魔術行使理論は難しいと思います……」 子供たちの中でも年長者であるシアンがおずおずとこちらにやって来て耳打ちする。 「じゃあ魔法陣解読学でも……」 「それはもっと難しいです」 バッサリと首を横に振られては黙るしかない。 これはこのまま続けても先刻の二の舞になりかねない。 というかなる。絶対。 一体どうしたらいいのか。しばらく考え込んで、ふとシアンを見る。 見たところ、自分と同い年くらいだろうか。普段はシアンが皆に授業をしているらしい。 「シアンが授業しているところ見させてくれね?」 「え?」 「それ参考にするから」 「な、何を言っているんですか。僕なんてそんな……」 ごにょごにょと言い訳をするシアンを置いて、小さな子供たちと一緒に座り込む。 それに気づいたシアンが小さくため息を吐き魔力板に魔力で文字と、可愛らしい絵を描いていく。 「えっと、さっきのお兄ちゃんが言っていたのは魔術がどうすれば使えるのかって事なのはわかるよね? 「そこで、ここに紙を用意します。これはなんのために必要かな?」 「えっと、まじゅつを使うため!」 「その通り!イアンはちゃんと聞いてて偉いなー!じゃあ紙を用意する他に、魔術を使うことができる方法があります。それは何でしょう?」 「え、なんだろ……」 「わかんない……」 「魔術を使うために、必要な事を思い出してみるといいかもね。ほら、僕も魔力板にしてる事だよ」 「んー?カキカキ?」 「そうだ!紙じゃなくても何かにかけばつかえる?」 「お、かしこい!さすがイリアとフーラ!」
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