第5走

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その反応は地味に傷つくし、何より腹立つわね。 江湖はこちらを凝視する金色の目をビンタしたい衝動に駆られていた。 「オファニエル、こいつはエコ。訳あって俺の家に住んでるんだ」 「ふーん。なんか神クサイな」 何かしら、カミクサイって。 カミ……神?もしかして、花枝ちゃんの事かしら。と江湖が首を傾げると同時にオファニエルは吹っ飛んだ。 「え?」 「ふん、そーゆーお前は天使クサイってーの」 いきなり吹っ飛んだオファニエルを思わず目で追うと、すぐ後ろから声が降ってくる。 江湖が振り返ると、そこにはやはりというべきか花枝がふよふよと浮いていた。 顔は笑顔だが、ずいぶんと不機嫌そうだ。 「あら、花枝ちゃん」 「おっはよー!エコりん!」 「オファニエル、大丈夫か?」 今オファニエルを吹っ飛ばしたのは花枝なのか。 痛がりながら起き上がるオファニエルに手を貸すユオをチラリと見ながら、江湖は花枝を見上げる。 「今やったのは花枝ちゃん?」 「んー?なんのことかなー!!」 あくまでシラを切り通すらしい。 江湖の周りを浮きながら笑う花枝に、江湖はため息を吐いた。 「オファニエル、今のはお前が悪いぞ」 「いってぇ……」 「エコ、それと……ハナエ?って呼べばいいのか?悪かったな」 「いいのよ。別に気にしてないわ」 花枝ちゃんもやりすぎよ、とそちらを向くが、花枝はつーん、と反省した様子はまったくない。 「え?っつか生命の契約?神が!?」 「またお前は……」 江湖の腕の模様を見て、ありえねぇ!!と騒ぎ出すオファニエルに、ユオは呆れたようにため息を吐いた。 ……ごく自然にこの契約をされた江湖にはその異常さはわからないが、オファニエルの騒ぎっぷりからしてそれほどまでにおかしいことなのだろうか。 花枝を見上げると、笑顔だがどす黒いオーラが漂っているよ…う……な。
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