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「…、お兄ちゃん…っ」
ガラリと個室の部屋が久しぶりに音を立てたかとおもうと、懐かしい顔ぶれ。
「……、久しぶり」
弱々しくなった俺を見て、酷く顔が揺れた妹。
泣くかな。なんて思ったら、泣きそうな顔して一生懸命はにかんでた。
「久しぶり、お兄ちゃん。元気そうでよかった」
嘘をつくときはいつも首もとを触る癖は、いつまで経っても変わらないんだな
「…、頼。アンタなんてとこにいんのよ」
「……母さん、」
たぶん、もう医者から俺のことは聞いているんだろうか。目元が真っ赤で、凄く罪悪感に苛まれた。
「ほら、さっさとそんな病気治しちゃって家に帰るわよ。あんたの好きなもんたくさん作って待っとくから」
「………うん」
ありがとう。母さん。
女手一つで俺を、俺たちを育ててくれて。
いつも、笑顔で出迎えて、『おかえり。』といってくれた母さん。
俺、母さんにまだ、何も返してない…っ
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