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妹が変に気を回して病室に二人きりになった。
「会いたかった。」
先に沈黙を破ったのはアキラだった。
安堵した様子で、優しい眼差しで俺をみつめるアキラ。
だが、俺は、視線を交えないように自分の手元を見ていた。
「……、俺は、会いたくなかったよ。なんで、いるの」
冷たく突き放すと、懐かしい元恋人は顔を歪める
「………謝りたくて」
「そう、ならもういいでしょ。帰れ」
もう、見られてしまった。こんな、こんな醜い俺の姿。
お前は最後まで残酷に俺を傷つける。
こんな姿は見られたくなかったのに、それさえもお前は……っ
湧き上がる感情全て押し殺して、アキラに棘を刺す。
おまえの前では良い子でいたかったのに。
「帰れよ。お前。何しにきたんだ。…………かえって、くれよ、」
情けない。情けねぇ。
一番会いたくないのに、会いたかった。なんて。
「より、俺はっ!!!」
「──なんで今更、今になって俺を探したんだよ。なんで、お前は俺にお前を忘れさせてくれない……ッ。
お前なんて大嫌いだ。」
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