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僕はそのとき母校の記念パーティーに出席していました。
駅前のホテルのホールで行われたそのパーティーでは最初にくじを引いて、くじに記されている番号のテーブルにつきました。
懐かしい母校の教師や同級生を見つけて確認していると、僕の向かいの席には親友のSが俯いて座っていました。
僕はSも来ていたことを確認して嬉しく思いましたが、なにか大事なことを忘れているような気がしました。
彼はずっと俯いていてその表情が見えないので、僕はSに話しかけようとしたのですが、その際に沸き起こっていた違和感について思い出してきました。
僕の中で徐々に存在を大きくするその違和感はやがて確信的な恐れへと変化していきました。
「……おまえ、死んだんじゃなかったっけ?」
そう言おうとするのと同時にSはゆっくりと顔を上げ始めました。
Sの動きはまるでコマ送りの映像のようで動くたびにその姿はどんどんと灰色に染まっていくのです。
危機感で頭がいっぱいになりながらも、それを上回る狼狽で金縛りにあったように体が固まって動けませんでした。
もう次の瞬間Sの顔と目が合ってしまうというその時、僕の肩をがっと後ろから掴まれて目が覚めました。
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