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最初の事件は先輩が営業中駅で電車に乗ろうとしている時に起こりました。
先輩が駅のホームで電車を待っていると突然耳元で囁く声がしました。
「……轢かれて死ぬ」
その声は最近別れた彼女の声でした。
驚いて周りを確認しても彼女の姿は見えず、おかしいなと思いつつ前に向くと、突然後ろからどんと何かに押されたのです。
すんでのところでホームに落ちずには済みましたが、落ちていれば確実に電車に轢かれていました。
先輩はすぐさまその別れた彼女に電話をしたのですが、彼女はずっと仕事場にいたと言います。
不信感は残りましたが、その時はそれで終わらせました。
また、何日か経ってから別の駅で彼女の声で囁かれました。
「……落ちて死ぬ」
再び聞こえた声も不吉な呪いの言葉でした。
前回のこともあり、怖くなった先輩はその駅からすぐに出ようとしたのですが、階段に差し掛かった際に階段の上から何かに押されました。
階段の下へ転がり落ちそうになりましたが、なんとかこらえて体勢を立て直した先輩は周囲を警戒しながら駅から離れました。
先輩は彼女が嘘をついていることも考え、今度は彼女の仕事場の知人に電話をして、彼女が仕事場にいるかどうか確認しました。
しかし、その知人からも彼女はずっと仕事場にいたと言われました。
結局、別れた彼女の声がして殺されそうになるのに彼女自身はその現場にはいないというのです。
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