エピソード1 ストーカー相談

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そこまで話して先輩はこんなこと警察に行くわけにもいかないし困っていたところ、以前事務所で起こった心霊事件を黒川さんという人が解決してくれたと父親が話をしていたことを思い出したそうです。 僕はその時半信半疑で先輩の話を聞いていたのですが、心霊事件と聞いてさらに先輩が何を言っているのかと思いました。 ところが先輩の相談を一通り聞き終わった黒川さんは面倒くさそうに答えました。 「ええと、元彼女さんのストーキングということでしたが、その元彼女はあなたの会社の従業員ですよね」 いきなりの黒川さんの問い掛けに先輩はなんでそれをという顔をしましたが、彼女は続けてとんでもないことを指摘しました。 「だってあなたの後ろに憑いてますよ、彼女の生霊が、私あなたの会社で彼女本人を見たことありますよ」 僕と先輩は驚いて後ろを確認しましたが何も見えません、ただ黒川さんには先輩の別れた彼女の生霊の姿が見えているようでした。 「会社の女の子に手を出して恨まれるなんて、自業自得でしょう」 彼女はあっさり言いきりました。 彼女の言葉を受けて、先輩は真っ青になってどうしたらいいかと哀願しました。 しかし、彼女はまるで相手にせず突き放しました。 「あなたがその彼女に何をしたのか知りませんが、その彼女に許してもらうしかないんじゃないですか」 その言葉を聞いた先輩は観念したのか、がっくりと消沈して帰って行きました。
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