365人が本棚に入れています
本棚に追加
次の日、僕は翌日の告別式に出席するために休みを取る必要があるので、事務所で残業をしていました。
そのとき、職場の先輩の黒川さんが落ち込んだ様子の僕を見て心配したのか、何かあったのと尋ねてきました。
僕は彼女に親友が亡くなったことと明日その告別式に出席するので残って仕事をしていることを説明しました。
すると、彼女からそのことで思いがけず注意を受けました。
「あまり思いつめないほうがいいわよ、呼んじゃうから」
僕は彼女がいわゆる霊感のある人ということは前回の事件で分かっていましたが、それでも彼女が何を言っているのか言葉の意味がわかりませんでした。
彼女の言葉は死んだ親友Sのことを考えすぎてはいけないという意味に取れましたが、親友が死ねば悲しむのは当たり前だと思いましたし、呼んでしまうということは彼が僕の前に現れるということでしょうか。
それならば最後のお別れが言えるから良いことではないかと僕は思いました。
少々彼女の言動に憤りを感じながらも、黒川さんの表情は本当に僕のことを気遣って声をかけてくれているようでしたので、僕は文句を言うこともできず分かりましたとだけ答えてそのまま残業を続けました。
最初のコメントを投稿しよう!