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茫然自失…
何が起こっているのか解らず、ただ消えゆくを見…
叫んだは…
『ロクちゃん!!!』
と…
夕陽の丘の木の下で…彼は消えたのだ。18の歳。
”鈴…”
と僅かに名前を呼んだまま…
未だ咲きもしない花。
”乱暴ものの鬼ロクは、何処ぞの組へでも入ったか…消えおった…”
そう村の噂になって流れた。
焦り戻りて父に言うも…笑って取り合わず…
ただ真実は、硬い黒い石の様に
心の奥底に。
村人の噂も消えし頃…
鈴もあの鬼ロクと同じ歳になった。
折しも、大工として働く父の仕事先…建築中の豪邸。その家の遊び人の三男坊が、休みにも働く父の為…弁当を持ちて寄りし鈴を見染めて懸想する…
そう…建物裏の影にて、通せん棒宜しく抱きしめた…
その時に…その全てを悟った…
鈴、その身の怖さ。
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