第4章

21/31
前へ
/120ページ
次へ
何が大丈夫で、何が大丈夫じゃないのか解らない… けれど、話し始めたハル君。 「スコポラミンを分解する抗体を作りました…解り易く言うと。 鈴さんから、随分前に依頼を受けて…いや、直接はキミ…からだけれどね。 鈴さんは、自分の持つ針の 一本を保存していました。今は既に昇華されたソレです。 ヒマラヤ生息のエンジェル・トランペットに含まれる成分スコポラミンと同種だと解りました。 神経がヤラれ、人間では無くなる毒と薔薇毒が合わさったものでした。 物質的にはそうなのですが…ソレだけでは無い呪いの部分も、勿論…」 そう続けたハル君は、 「だから…貴女自身も少しづつ浴びて…人としての色を…失って来ましたね。」 親指を頬にかけ…顔を撫でる。 「僕が居ますからね。もう大丈夫です。」 そう言うと…小さな三つ折りの携帯鏡を内ポケットから取り出した。 「どうぞ…。」 そう言うと、ワタシの目の前に差し出した。 鏡に映ったのは、少し赤みを帯びた頬。 ヘーゼル色の瞳、それにハチミツ色の髪は少し色を戻していた。 「白に…アナタが消えてしまわない様に。」 そう言って、ワタシの頭を引き寄せた。
/120ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加