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何が大丈夫で、何が大丈夫じゃないのか解らない…
けれど、話し始めたハル君。
「スコポラミンを分解する抗体を作りました…解り易く言うと。
鈴さんから、随分前に依頼を受けて…いや、直接はキミ…からだけれどね。
鈴さんは、自分の持つ針の
一本を保存していました。今は既に昇華されたソレです。
ヒマラヤ生息のエンジェル・トランペットに含まれる成分スコポラミンと同種だと解りました。
神経がヤラれ、人間では無くなる毒と薔薇毒が合わさったものでした。
物質的にはそうなのですが…ソレだけでは無い呪いの部分も、勿論…」
そう続けたハル君は、
「だから…貴女自身も少しづつ浴びて…人としての色を…失って来ましたね。」
親指を頬にかけ…顔を撫でる。
「僕が居ますからね。もう大丈夫です。」
そう言うと…小さな三つ折りの携帯鏡を内ポケットから取り出した。
「どうぞ…。」
そう言うと、ワタシの目の前に差し出した。
鏡に映ったのは、少し赤みを帯びた頬。
ヘーゼル色の瞳、それにハチミツ色の髪は少し色を戻していた。
「白に…アナタが消えてしまわない様に。」
そう言って、ワタシの頭を引き寄せた。
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