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――課題考査も無事に終わった。
あとは結果を待つだけだ。例の『スパルタ』と、広範囲だったがヤマを張ってくれた賢人の問題がことごとく当たりテストに出た。俺はかなりの手応えを感じていた。
『黒川――やり直し』
『ッ、んン……あっ』
『ほら、ちゃんと覚えて?』
『けん、と……ッ、も、や、ぁあッ』
『聞こえないから――最初からだね』
『ン、は、ぅ……ッく、やめッ――』
試験中に、賢人とやった『勉強法』を、問題を解く度に思い出して、ちょっと恥ずかしくなったのはヤツには内緒だ。……言えるわけがねえ。
……つかアレは効果バツグンだった。
ひさしぶりの部活――バスケも本当に楽しかった。
『黒川君、指立て伏せ残り20回』
『っ……は、あ……』
『なーお?だいじょぶかぁー?』
『うるせえっ……水野ッ、は、あ……』
部活も解禁になり、学祭と課題考査ですっかりなまっていた身体に容赦ない桜町の練習メニューが襲いかかっていた。バスケ部のマネージャーは鬼なのかもしれないとたまに思う。
「……いってえ……」
「奈央君大丈夫?筋肉痛?鞄持とうか?」
「悪い……春野」
「ううん、気にしないで」
「さんきゅ、春野」
ひさびさの筋肉痛に、ダルい身体を引きずって登校したある日のことだった。
「…………」
……身体は正直だ。完璧疲れが残ってる。
あくびを噛み殺しながら、ぼーっと朝のSHRを受けていた。山せん(担任)のボソボソまったりと話す穏やかな声が眠気をよけいに誘う。
「…………」
瞼が今にも落ちかけた時。
「――ますね。じゃあ、入って下さい」
静かにクラスのドアが滑った。
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