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「しっかし『指立て伏せ』で何で足つるかねー?」
「体重のかけ方がおかしかったのかもしれないね黒川君の」
「なーお?あくびしまくってんねー」
「だって痛いしつかねみい……」
「黒川君痛いのは関係ないよね」
そ う き た か。
「……」
……否定はしない(単なる限界点突破(略))。
静かにツッコミを入れてくる桜町に、眠たい顔で愛想笑いを返しながら気が付いた。
……お、oh……?!ジーザス。
そういえば桜町『おはよう』って言ったよな。寝てたのバレてたのか?いやあれは昨日の部活の疲れが残ってただけだ。今日の部活は大丈夫だ、たぶん……頑張ります俺(目標)。けど鮎川先輩の筋トレ、昨日と同じメニューだったら怖いな。筋肉痛の第二ステージへ突入したらどうすれ……はい?
「奈央っ……く、あははっ!顔っ!」
「あんだよ水野……?」
「ごめんっはははっ!」
なぜか水野は俺の顔見て腹を抱えて笑ってやがった。
……ムダな元気をわけて欲しい九割ガチ。
「なっ奈央君おはよう!」
笑いまくる水野がまじ意味わかんなくて、ふてくされた俺に元気いっぱいの声が落ちてきた。
「おう」
春野さっきはバッグ持ってくれてありがとうそしてごめ……ん?もしかしていま噛んだか?気持ち的には手伝いたかったが上の瞼が下の瞼と仲良くしてて不可抗力だった。そして『おはよう』言うな。
「春野助けて……ねみい」
「――っっ!?」
ふわふわの春野のほっぺに手を伸ばして後悔した。なにこれめっちゃ癒やされて眠気が増大するわ。
「ななっ!奈央君っ!?」
「ふあ……お前らは行かなくていいの?」
水野の席を陣取り、春野のほっぺに癒やされた俺はダラリと手足を解放してベランダ側の壁に寄りかかりながら、キャッキャと盛り上がる廊下側の席を見た。
「行く必要をまるで感じない」
「そうかよ」
「ちょっと勇気いるよね?春野君?」
「へっ?ぼ、っ僕は奈央君のっ!!」
「んあ?俺がどうした春野」
「なっ……何でもない……」
「ん?」
「奈央君のばかっ……!!」
「はあ?馬鹿はねえだろ春野。たしかに成績下がったけど」
「「「……」」」
なんて会話を交わしつつ、雲母坂の姿を探したけど、それを囲む人だかりで目視不可能だった。
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