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家族皆に祝ってもらった翌日に入籍を済ませたから、
俺たちが正式に夫婦になってから一月が経った。
「先生、患者さん途切れたので、今のうちに休憩して下さい」
いつものように、
午前中の診療の受付が一段落したのを芽依が知らせにきた。
慌ただしい仕事の合間に、
こうやって芽依が傍に居てくれて、笑顔を見せてくれることで、
ーー俺がどれほど癒されてることか。
芽依に『先生』なんて呼ばれるのは他人行儀で嫌だけど……。
芽依が仕事とプライベートはちゃんと区別したいって言うから仕方がない。
けど、新婚なんだし?
ちょっとくらい良いんじゃねぇの?
って思ってしまう俺は、
「ん、じゃぁ、ちょっとだけ」
近くまできた芽依をグイッと胸に引き寄せて、
ギュッて腕のなかに閉じ込めた。
「先生、早く休憩行かないと、ゆっくり休めませんよ?」
なのに、
芽依は頑なに仕事モードを崩そうとはしない。
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