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…………
どこまでも赤くて、熱い。
「…ごめんね、」
守ることができなかったよ
もう、目の前にいないあの子に向かって呟く。
花の模様の散った手鞠を、自分の手で回しながら、
目の前で燃え盛る炎から逃れるように目を閉じる
まぶたの裏側は変わらず熱かった。
あぁまただ。
炎を見るとあの時を思い出す
なのになんで私は、こんな武器で戦うのか
投げると、すべてを焼き尽くしてしまうような手鞠で。
「…自責の念でもあるの?」
そうやって自嘲する
あぁ、本当にくだらない
こんな、自分がくだらないよ
座敷童子は、憑いた家に幸福をもたらす精霊。
なのに、
「あたいは誰も幸せにできない」
最後にもう一度嘲笑う。
「じゃあね」
もう一度手鞠を投げる
激しい閃光が一瞬目を眩ませて……
後に残ったのは、焼けた野原だけ。
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