第1話

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カランコロン・・・ 「あーさっぱりした」 背中あたりまで伸ばしっぱなしだった髪の毛を切った。 それはもうバッサリと。 後ろは刈り上げてさっぱり。 親の転勤で転校することになったので心機一転髪も染めた。 「伊崎彼方(イサキ カナタ)さんですね?」 黒塗りの車から出てきたのは綺麗な女性だった。 「そ、そうです」 伊崎彼方とはほかでもない、わたしのことだ。 「社長の蒲田陽夜(カマタ ヒヨ)があなたのことを待っています」 蒲田陽夜とはわたしのおばさんだ。 年齢はわかんないけど40代後半なのは確か。 おばさんは事務所経営をしている。 「申し遅れました。わたしは秘書の品川明子(シナガワ アキコ)です」 そういって品川さんは車のドアをあけた。 わたしはその車に遠慮なく乗り込んだ。 危機感がとてもない。
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