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目的地に着くと大きな高層ビルがあった。
大都会とは言い難いような地に高層ビルがあるのとても不釣合に見える。
高層ビルのてっぺんに看板があり、『カマタぷろだくしょん』と書かれてあった。
間違いなくおばさんの会社だ。
品川さんに連れられてわたしは最上階の社長室にたどり着いた。
コンコン・・・
「どうぞー」
ガチャッ
「彼方様を連れてまいりました」
「ありがとう」
品川さんはそう告げると、社長室の前のカウンターへ向かった。
よくドラマとかで出てくるようなやつだ。
中へ入るとおばさんは社長椅子に座っていた。
「し、しつれいしまーす」
「なに、かしこまっちゃってんのよ」
「こんなとこ初めて来たから緊張しちゃって」
「そうね、呼んだことはなかったわね」
そうおばさんは言うと、席を立った。
「たくさん話すことあるからそこのソファー座っちゃって」
そう言われてソファーに座ると、とてもふかふかだった。
もうめり込むくらいふかふかだった。
おばさんはわたしの目の前に座った。
「で、早速なんだけど、彼方アイドルしない?」
「は?」
「彼方綺麗な顔してるからアイドルできると思うけど」
「え、ちょ」
前から突飛なこという人だったけど、こんなことを言われたのは初めてだ。
「ほら、まんざらでもない顔、してるわよ」
「う・・・」
そしてしばらくの沈黙。
「・・・アイドルはいいとして・・・」
「あ、いいの?」
(綺麗な顔って言われたら断れるわけないじゃん)
わたしいいこと言われるろすぐ天狗になってその気になっちゃうんだよね。
「ここ、男性専門のアイドル事務所だよね・・・」
「ご名答!」
とてもにこやかに笑ったが・・・とても企んでいるような顔付きだった。
「彼方、男装しない?」
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