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真っ白な寝間着が泥だらけになるほど引きずって
だいぶ遠くまで来た。
見慣れた屋敷の庭がいつしか
出口のない森のように僕の目の前に広がる。
しばらく現実逃避するように
僕は辺りの花々を摘んだ。
無心で花の冠を作る。
出来上がったら望のところへ届けよう。
今からでも遅くない。
きっと喜んで戻ってくるさ――。
刺のある葉で指の先が傷だらけになっても
僕は構わず花輪を編み続けた。
だけど――。
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