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観光地から距離を置いた海沿いのヴィラに僕らは腰を落ち着けた。
「ま、ハネムーンには申し分ない場所だけど」
古めかしい銀食器でバリコーヒーを啜りながら、椎名さんはニヤリ笑う。
「少し黙れ。相変わらずへらず口だな、おまえは――」
濃い色のサングラスのせいで
どんな顔してるのか分からない。
それでも少し痩せ、ますます精悍になった横顔に――。
「なんだい!こんなとこまで人を呼びつけておいて、それはないだろう?征司くん――」
僕はおのずと見とれ
爪を噛む――。
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