皐月

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掴みかけてた碧い空 僅かに指先かすめては 音を立てずに染まる指 微かに響く雲の波 声も立てずに流れてく 立夏の風の風景画 描くは揺れる深緑の 若木の枝のペン先か さらりサラリと読みかけの 本のページをめくるよに 四角く時を切り取った 心地好い丘草原の 駆け抜けて行く穏やかな 鏡写しの想い出が 世の鐘鳴らす伸び伸びと 届け届けとひたすらに かくして大地は息をして 隠していた陽を取り出して 波打ち際にそっと置き 世界の視線を染めていく 自然に罪がないように
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