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「今日さぁ、幽霊屋敷に探検しに行こうぜ」
圭輔の発案だった。
幽霊屋敷。それは当時小学三年生だった俺たちが付けた、住宅街の奥の屋敷のことだ。
外観はまさにそれと呼ぶにぴったりで、黒くて古くて、そして木々に囲まれている。
その日は、給食を食べたら終わりという短縮授業で、ランドセルを担いだまま向かった。
五人いる探検隊の一人、慎一がランドセルの金具を止めない男で、歩くたびに金属が触れ合う音がした。
幽霊屋敷を間近で見るのは、意外にもその日が初めてだった。
俺たちはその大きさに圧倒されていた。
屋根付きの木製の門扉に、その左右に続く白塗りの塀は、俺たちの身長より遥かに高く、二メートル以上はあった。
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