103人が本棚に入れています
本棚に追加
/259ページ
一人残された俺は、何の気なしに顔を上げた。
──目が合った。
玄関の真上、目測二メートル程度の窓から、俺を見下ろす一人の男性。
二十代半ばで、目元と口元に微かな笑みを浮かべている。
俺は顔を上げたまま動けなかった。
勝手に人の敷地に入って怒られる──といったような感情はなかった。
窓越しに感じるその人の魅力、雰囲気、佇まいに俺はただただ目を合わせていた。
時間にして約二分。圭輔たちが戻ってきたタイミングと合わせて、その人は部屋の奥に姿を消した。
「どうした?」
顔を上げてる俺に不審を持った圭輔が尋ねてきて、四人は窓を見た。
最初のコメントを投稿しよう!