プロローグ

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一人残された俺は、何の気なしに顔を上げた。 ──目が合った。 玄関の真上、目測二メートル程度の窓から、俺を見下ろす一人の男性。 二十代半ばで、目元と口元に微かな笑みを浮かべている。 俺は顔を上げたまま動けなかった。 勝手に人の敷地に入って怒られる──といったような感情はなかった。 窓越しに感じるその人の魅力、雰囲気、佇まいに俺はただただ目を合わせていた。 時間にして約二分。圭輔たちが戻ってきたタイミングと合わせて、その人は部屋の奥に姿を消した。 「どうした?」 顔を上げてる俺に不審を持った圭輔が尋ねてきて、四人は窓を見た。
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