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六月上旬のある日。大学の食堂で昼食をとっていた圭輔が、突然言った。
「幽霊屋敷に人が住んでるらしいんだよ」
幽霊屋敷。その言葉を耳にしたのは、約十年振りだ。
「らしいってどういうこと?」
「ちょっと待って。その前に幽霊屋敷って何?」
雄太の質問を、鳴瀬が違う質問で一蹴させた。
無理もない。鳴瀬京子は、大学で親しくなった内の一人だ。
胸元まで伸びた黒髪に、パッチリとした大きな目、鼻梁が高く、艶のある唇をしている。
同じ学部で、圭輔が初めに話しかけにいった。
そのあと、俺とも話が弾んで親しくなった。
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