Ⅲ 光を見た

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   三 目の前には燃え盛る乗用車。   揺らめく炎。   沢山の人々の呻き声が木霊している。   バスが横転したようで、ガソリンの匂いが蔓延している。   早くここから逃げなくては。   怪我人はいないか。   乗客の安全を……優先しなければ。   乗客?   そうだ。   私と息子はこの仕事があるため、妻たちとともには行けなかったが、 今日は、私の妻と娘が実家へ帰省するために、 この『私が運転する夜行バス』に乗っているのだ。   どこにいる……。   助けなくては……。
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