Ⅳ それぞれの想い

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  1   乙黒はやっとの思いで高峰亮太が働く人事部までやって来た。   途中、倒れそうになるのを霧島に何度も支えられた。   霊媒体質である乙黒は、自らの体を空っぽにするために莫大な労力を必要とする.   さらに今回は、 荒木秀高という生きている人間の生霊を乗り移らせたのだ。 いつ倒れてもおかしくないほど、乙黒の体はふらついていた。 「どうしたんですか?」   高峰はそんな乙黒を見て、驚きの声を上げた。 「気にすんな」   霧島は乙黒をソファーに腰掛けさせた。   霧島はあたりを見渡した。   都合よく、ここには今、 この高峰という男しかいないようだ。 「乙黒さん、大丈夫そうです」   乙黒は頷き、高峰の瞳を捉えた。
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