51人が本棚に入れています
本棚に追加
1
乙黒はやっとの思いで高峰亮太が働く人事部までやって来た。
途中、倒れそうになるのを霧島に何度も支えられた。
霊媒体質である乙黒は、自らの体を空っぽにするために莫大な労力を必要とする.
さらに今回は、
荒木秀高という生きている人間の生霊を乗り移らせたのだ。
いつ倒れてもおかしくないほど、乙黒の体はふらついていた。
「どうしたんですか?」
高峰はそんな乙黒を見て、驚きの声を上げた。
「気にすんな」
霧島は乙黒をソファーに腰掛けさせた。
霧島はあたりを見渡した。
都合よく、ここには今、
この高峰という男しかいないようだ。
「乙黒さん、大丈夫そうです」
乙黒は頷き、高峰の瞳を捉えた。
最初のコメントを投稿しよう!