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「高峰さん。
アンタが荒木さんのことを運転手から遠ざけたい理由がわかったよ」
「!」
高峰は驚きの表情を浮かべたが、
すぐに平静さを取り戻した。
「その話でしたらさきに終わりました。
さあ何故か疲れているようですし、
今日はもう帰った方が――」
乙黒は構わず続けた。
「荒木さんの記憶を探ったよ、
方法は割愛するけどね」
「……なにを。冗談は止してくださ――」
「あのときやって来た予約客7人のうち消えた乗客。
つまり乗ったはずなのに、降りなかった親子2人がいたんだ」
高峰は眉間に皺を寄らせ、
明らかな不快感を表した。
「……適当なことを……やめてください」
「『記憶を無くす前の荒木さん』の人格は
確かにその2人のことを覚えていたよ。
あれは――」
「やめろ!」
乙黒はさすがに声を引いた。
高峰は拳を握り締めていた。
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