Ⅳ それぞれの想い

4/9
前へ
/40ページ
次へ
再び乙黒はゆっくりと口を開いた。 「あの親子は確かに、荒木さんの妻と娘だった」 「……」   高峰は瞼を閉じ、俯く。   さらに乙黒はこう続けた。 「まあ、つまりはアンタ高峰亮太、 旧姓荒木亮太の母親と妹だ」 「……」   唇をかみ締め、高峰は静かに俯いた。 「どういう事情があるかわからないが、 男性が苗字を変えるというのはあまり見ない例だからね。 荒木さんのヴィジョンで見ない限りはわからなかった。 アンタが父と同じ会社で勤めている荒木さんの息子だって」   高峰は静かにソファーに腰を掛けた。   霧島も、そんな高峰の姿を見つめ続けた。   静かに高峰は口を開いた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加