51人が本棚に入れています
本棚に追加
再び乙黒はゆっくりと口を開いた。
「あの親子は確かに、荒木さんの妻と娘だった」
「……」
高峰は瞼を閉じ、俯く。
さらに乙黒はこう続けた。
「まあ、つまりはアンタ高峰亮太、
旧姓荒木亮太の母親と妹だ」
「……」
唇をかみ締め、高峰は静かに俯いた。
「どういう事情があるかわからないが、
男性が苗字を変えるというのはあまり見ない例だからね。
荒木さんのヴィジョンで見ない限りはわからなかった。
アンタが父と同じ会社で勤めている荒木さんの息子だって」
高峰は静かにソファーに腰を掛けた。
霧島も、そんな高峰の姿を見つめ続けた。
静かに高峰は口を開いた。
最初のコメントを投稿しよう!