Ⅳ それぞれの想い

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   2 『3番目にやって来たのは母と娘の2人組親子だった。 二人とも黒い衣服を身にまとい、沈んだ面持ちでやって来た。 私に会釈をして、大した荷物も持たずに中へと入っていった。 何か事情がありそうではある。興味を引かれる』   このヴィジョンを見たときに、 荒木の生霊を取り込んでいた乙黒はすぐに感じ取った。   この親子は荒木の妻と妹である、と。   そして、先程まで話していたあの高峰という男からも感じ取った。   家族という無意識下の繋がりから発せられる独特な雰囲気を。   ふらふらとした足取りで、乙黒はバス会社の外へとやって来た。 「乙黒さん、報酬は?」 「ばっきゃろー。 アタシたちは何もしてねーだろが。 変に家族間を引っ掻き回しただけだ。 迷惑かけただけだよ。 報酬なんて貰えるか」 「……そうですね」 「まあ荒木さんは今後も運転手として生きていくだろうけどよ。 記憶を、元の人格を取り戻せるかは、わかんねーよ」   乙黒は振り返って会社を見上げた。 「それはアタシたちが背負うことじゃないからな」 「……はい」   霧島も乙黒の視線を追った。 そのあとに思ったことがあったのか、ふと乙黒を見つめた。
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