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「そういえば乙黒さん。
消えた乗客って3人でしたよね?
そのうちの2人は荒木さんの妻と娘だったとして
……もう一人は?」
次の瞬間、乙黒は頭を抑え蹲った。
「あああ、ああ! あああ!」
「乙黒さん!?」
はあ、はあ、と肩で大きく息をし始める。
「乙黒さん!」
「そうだ……あと一人……どうして、
アイツが……アイツがいるんだ……?」
乙黒はゆっくりと前方にある乗ってきた夜行バスを見つめた。
そして、そこに確かに見たのだ。
白いYシャツ一枚にコートはおり、
細身で、髪の毛が綺麗で真っ白な若い男性の姿を。
乙黒はその男の姿を瞳に捉え、手を伸ばした。
「……おい待て……!」
ゆっくりとふらふらと乙黒は歩き始める。
「どうしたんですか乙黒さん?」
白い男性はゆっくりと歩き始めた。
「ああ……やめろ……いかないでくれ」
乙黒は消え去りそうな声で告げた。
「何がですか?
誰かいるんですか? 乙黒さん」
霧島も不安そうに、心配そうに声を掛ける。
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