Ⅳ それぞれの想い

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「そういえば乙黒さん。 消えた乗客って3人でしたよね?  そのうちの2人は荒木さんの妻と娘だったとして ……もう一人は?」   次の瞬間、乙黒は頭を抑え蹲った。 「あああ、ああ! あああ!」 「乙黒さん!?」   はあ、はあ、と肩で大きく息をし始める。 「乙黒さん!」 「そうだ……あと一人……どうして、 アイツが……アイツがいるんだ……?」   乙黒はゆっくりと前方にある乗ってきた夜行バスを見つめた。   そして、そこに確かに見たのだ。   白いYシャツ一枚にコートはおり、 細身で、髪の毛が綺麗で真っ白な若い男性の姿を。   乙黒はその男の姿を瞳に捉え、手を伸ばした。 「……おい待て……!」  ゆっくりとふらふらと乙黒は歩き始める。 「どうしたんですか乙黒さん?」   白い男性はゆっくりと歩き始めた。 「ああ……やめろ……いかないでくれ」   乙黒は消え去りそうな声で告げた。 「何がですか?  誰かいるんですか? 乙黒さん」   霧島も不安そうに、心配そうに声を掛ける。
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