Ⅳ それぞれの想い

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霧島は懸命に乙黒の視線の先を追うが、 霧島は誰の姿を捉えることもできなかった。   次の瞬間、 白い男は乙黒の視界から風に舞う砂のように消えていった。 「ああ……待ってくれ、 アタシを許してくれ……ユキノ……っ!」   乙黒は視界がぼやけ、 ぐらっと眼球が上を向き、 蒼白の表情でその場に倒れた。 「お、乙黒さん! 乙黒さん!  誰か! 誰か、救急車を!  乙黒さん、しっかりしてください!」   霧島の叫びが空の彼方に消えていった。 【END】
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