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「きゃぁぁぁー!!」
七星が甲高い悲鳴をあげ、足を閉じ背後の茶々丸にしがみついた。
「ぎゃああ!まだ…入って…捻っ…」
捻ってはいけない場所が捻られた茶々丸の悲鳴に、茫然としていた錦之丞が我に返ったんだ。
「えっ?えええーっ!!雄?」
目を丸くしたままフラフラと立ち上がり、外へと出て行っちまった。
「雄だったなんて…」
全く信じられないまましばらく夜道を歩くと、いきなり錦之丞を村のお年寄り連中が取り囲んだ。
「なんだ?こんな時間に年寄りばっかが…」
「錦之丞、他言は許さねえ…」
「は?」
「他言は許さねえ…」
年寄り連中が手を繋ぎ輪になったままぐるぐる回ったんだ。
「ええか、今宵のことは他言無用ぞ」
「万が一、漏らせば…おめえのぶら下がってるもん、咬みちぎってやろうぞ」
ヨコヅナサシガメのばあ様が目をつり上げギラリと睨み据えたんだわ。
「ひっ…」
「ワシだけではねえぞ…今宵のことを漏らせば、我ら闇夜に紛れ貴様の寝首をかく覚悟だ」
お年寄り連中の気迫と眼力にやられ、錦之丞は失禁しその場へ座り込む。
「わかったな!」
「ゆめゆめ忘れるでねえぞ!」
錦之丞に釘を刺し、闇の中へと消えた。
「ぎやぁぁぁ!!」
錦之丞は恐怖に涙し、泣きながら家へ帰った。
その日以来、美しかった錦之丞は、一気に老け込み髪が真っ白になったが、錦之丞は何を問われても頑なに口をつぐんていたんだわ。
一方、あの夫婦は……
「ぐすっ…茶々さま以外に見られて…」
「ちょ…抜いていい?痛い…折れ…」
「聞いてくれてますか?私、見られたんですよ!」
「はい…すみません…」
泣きながら話す七星に、茶々丸が泣きながら耐えていた。
この夫婦が新婚旅行へ行って玉を授かる少し前の話だわ…
~おわりんご~
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