17人が本棚に入れています
本棚に追加
校門を出てしばらく歩くと大通りに出る。そこで桜が何かに気がついた。
「あ、伸二君だ!」
「え?」
桜が指差す方に伸二がいる。桜は嬉しそうに伸二に声を掛けようとした。このままだといつか伸二にお姉ちゃんが取られてしまう。
昔からそれが怖かった。だから、紅葉は……
「ダメお姉ちゃん!」
「え?」
桜が声を掛ける前に紅葉が止めに入る。桜は首を傾げて固まった。紅葉は震える声でこう言った。
「伸二には好きな人がいるの……だから、伸二はダメ……」
紅葉が桜についた初めての嘘だった。
最初のコメントを投稿しよう!