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天使のような明るい笑顔に俺の心臓は激しく動く。そのまま俺たち二人は屋上へといった。春の日差しが暖かくて、つい眠たくなってしまう。桜は欠伸をした。それを見られて恥ずかしそうに顔を俯かせる。
「眠たくなっちゃって……えへへ」
心臓の動きがまた一段と激しくなる。話す内容は沢山あった。なにせ幼馴染だ。思い出話をすれば自然と時間を忘れて楽しめる。笑い合い、ふと目と目が合う。すると、なぜか恥ずかしくなり目線を外してしまう。それが可笑しくて笑いが起きる。
こんな幸せな時間が一生続けばいいのに。そんな事を考えてふと昨日の水谷の言葉を思い出した。
『告白するなら早めにしたほうがいいぞ』
屋上で二人きり。雰囲気も悪くはない……もしかすると、今がそのチャンスなんじゃないだろうか。
俺は唾を飲んだ。
「桜……その、俺実は」
「え?」
真剣に桜の目を見つめる。桜は頬を赤く染めた。喉の渇きを我慢して、あと一言頑張って口に出す。
「俺は桜が……す」
「……」
「す……」
「お姉ちゃんに!近付くなぁぁぁあ!!」
「ぶはぁ!」
突然現れた紅葉。その拳が俺の頬に命中して俺はその場に倒れた。
「ちょっと目を離したらすぐに……お姉ちゃん、行こ!」
「え?でも……」
桜は俺の事を心配そうに見つめる。だがそんな事構わず、紅葉は桜を引っ張った。桜は流されるまま屋上を後にする。
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