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次の瞬間、背後からの飛び蹴り攻撃により桜との接触に失敗してしまう。
「ごふぁっ!」
大打撃。いったい何が起きたのか理解できない。混乱しながら、攻撃の犯人の顔を見た。茶色の髪は肩まで伸びたショートヘアーで左側をリボンで結んでいる。顔は、桜とそっくりだが、目が完全に獲物を見るハンターのそれだった。仁王立ちで俺のことを見下ろす少女。
「……もしかして」
俺は彼女の事を知っている。まさか、同じ高校に入るとは思っていなかったが……
「紅葉!?」
「お姉ちゃんに近付くな!バカ伸二!」
《優姫紅葉 ユウキモミジ》そうだ、彼女は優姫桜の妹で、昔から世界一お姉ちゃんが大好きで……世界一俺の事を嫌っていた女の子。
紅葉はいつも俺と桜の間に入りお姉ちゃんに近付くな、と俺の事を遠ざけていた。それは今でも変わっていないらしい。
「伸二君、大丈夫?」
心配してくれる桜。だが、紅葉はそんな桜の手を引く。
「そんな奴の心配なんてしなくていいから、早く行こ!時間ないよ!」
「う、うん……」
紅葉は桜を引っ張って行ってしまう。俺の思い描いていた楽しい学園生活は夢のように儚く散っていった。
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