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早速掲示板にはクラス名簿が貼り出されていて、人集りが出来ている。俺はその中へ飛び込み、何とか名簿が見える位置まで移動した。心臓がバクバクと脈を打つ。出来れば桜と同じクラスがいい。祈りつつ名前を確認していく。
「二組……速水伸二あった」
更に下へ行く。すると……
「優姫……紅葉」
紅葉が同じクラスになった。どうやら桜は違うクラスらしい。俺は肩を落としながら自分の教室へと向かう。流石に神様はそこまで俺に味方はしてくれないようだ。
二組の教室の前に立ち、俺は気を引き締め直した。桜はいないが、クラスには馴染まなければいけない。ドアを開け一歩を踏み出す。
「……おはよう」
一応挨拶をしておく。チラホラと挨拶は返ってきた。だがやはり皆初対面ということもあり探り探りといった感じだ。
俺は自分の席に着く。一番左端で一番前の席。景色が良く見えるそこそこいい席だ。俺の後ろの奴はまだ来ていないようで、その更に後ろの席に座る女の子が目に入る。
むすっとした顔の優姫紅葉。目が合うと、「何?」と威圧的に言われた。
「いや、何もないです」
「ふんっ」
めちゃめちゃ不機嫌だ。大好きなお姉ちゃんと離れ離れになったのが相当ショックらしい。その気持ちは俺にも分かる。
先生が来るまで教室で待機と言われ俺はすることもなく机に突っ伏していた。すると、教室に慌てて誰かが入ってくる。茶髪で少しチャラい髪型をしているが、丸いメガネがそのチャラさを緩和しているような気がする。そんな感じの男。
「うわっ、あっぶねぇ~けど、セーフ!」
無駄にテンションが高く皆の注目を浴びる。クラスに一人はいる目立ちたがりな奴だ。そいつは俺の方へ近づいてくる。そして後ろの席に座った。
「よっす!俺だ。趣味は女の子観察!特技は見ただけで女の子のスリーサイズを当てること!よろしくな!」
「あ、あぁ……よろしく」
変な奴だ。というか変態だ。そんな変態、もとい水谷は辺りを見渡し清々しい顔をする。
「当たりだな!このクラス!」
「当たり?」
「見た所このクラスの女子はトップクラスの子ばかり!」
「そうなのか?」
確かに言われてみれば可愛い子は多い気がする。
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