第1章

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はいはい、いらっしゃい。お紅茶お入れしますね。 角砂糖は何個お入れしますか? はいはい2個ですね。 それで今日はどうしたんです?この屋敷のことは以前もお話ししたはずですが? 以前の住人のことですか。はぁ…、これまでの住人の方とはお話ししたこともないものでね。ご近所さんもいないですし…。 あら、もう一回整理するために以前話したことをいえと?はいはいわかりましたよ。 今までもお話ししたように私1人でこの屋敷に住んでおります。主人は他界しましたし、息子も独り立ちしたもので私一人で住んでおります。最初は狭い家でご近所付き合いができるところにしようと思っていたのですが、お家をどこにしようか決めていたところでこのお屋敷を見つけて…。 なぜ決めたか? えぇと、それはですね、不動産屋さんがここを教えてくださってね。それが夕方でねぇ。ここで見る夕焼けはどこで見るよりも素晴らしくて…そこの庭にあるあそこのベンチ、ええ、あの木の下にあるベンチです。あそこに腰掛けてみたらどれだけ素晴らしいだろうかと思ったらすぐここにきめてたの。おかしい話でしょう?1人のおばあさんが夕焼けが綺麗だからってこの広いお屋敷に住むなんて…。けどいいのよ。1人だけど全然寂しいなんて思ったことなんてないの。
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