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第3章
「ねえねえおっかさん、おにいちゃんはどこへ行っちゃったの?」
「お兄ちゃんはね、出稼ぎに行ってくれてるんだよ。」
「そうなんだ…じゃあおにいちゃんはいつ帰ってきてくれるの?」
「さぁね、アタシにも、それはわかんないね。けど当分は帰ってこないよ。」
「そっか…おにいちゃんはぼくたちのためにはたらいてくれてるんだね!ぼくもちゃんと勉強しておにいちゃんといっしょにはたらくよ!」
「あぁ…ジェフ…お前はなんていい子なんだよ…おっかさんは涙がでそうさ…」
「おっかさん泣かないで!がんばっているのはおにいちゃんなんだからぼくはえらくないよ!」
「いいや…お前は偉いよジェフ…あいつと違ってねぇ!」
ダンッ!!!
「おっかさん!?床をふみつけてどうしたの!?」
「いや、虫を踏みつけようとしたら思ったより踏みつけすぎてしまっただけだよ、さ、ジェフ。あんたはもうお眠りなさいな。」
「わかったよ、おやすみおっかさん。」
「おやすみ、ジェフ。愛してるよ。」
…
「なんであんたはジェフみたいに良い子じゃないのかねぇ?ええ?ディラン?」
「おっかさん…ごめんなさい…ごめんなさい…悪い子でごめんなさい…」
「うるさいよ!ジェフが起きちまうだろ!あんたには今日もご飯はあげないよ!床下で寝てな!」
「はい…おっかさん…おやすみなさい…」
ディランは床下の収納庫で眠ったがディランが起きることはなかった。死因は餓死だった。
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