不良デビュー

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 次の日。とうとう俺の不良デビューの日だ。 開けたばかりのピアスホールたちにクリアピアスを通し、髪をワックスで固め、家を出るところでお袋に捕まった。 「バカ息子、何だその頭は?」 腰に手をあて、エプロン姿で台所からこちらを睨みつける、一見飲み屋のママにも見えるうちのお袋。 寝起きの悪いオヤジのための朝食作りといったところだ。 ちなみに俺は朝食を摂らない。 「イメチェンってやつ!?」 俺はハイテンションな感じで答えた。 「停学なっても知らないんだからね」 「母よ。私は生まれ変わったのだ」 「何意味わかんないこと言ってんのよ。たまには朝ごはんでも食べて――」 バタン そこで俺は家を出た。 ぐちぐち言うけれど、なんだかんだで理解のあるかぁちゃんなんだと思う。 「停学なっても知らないんだからね、ってしつけになってねぇよ」 ふっ、とつい笑ってしまった俺は、端から見れば不気味だったかもしれない。 俺は学校へ向かった。
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