16人が本棚に入れています
本棚に追加
これは、俺が無音に聞かせた話しの一部。
俺の思考が混じっているけれど聞いて欲しい。
柴犬は、ムウと言う。
犬年齢でいうと成人になったばかりだ。因みに雌犬。
赤い首輪と茶色い毛、真っ黒な眼が特徴だ。その日は車椅子の主人と看護師に連れられて散歩に出た。
普段は病院内だけと決められていたが、看護師が居るとき、主人の体調が良いときは、外に出ることを許されている。
ムウはそれを知っていた。ムウは散歩が大好きで近くの公園はもっと好きだった。
空は快晴で風も心地好かった。ムウは少しはしゃいで公園を走り抜け、沈黙通に迷い込んだ。
沈黙通は薄暗い、明るい場所を探してムウは彷徨いていた。
だけど、ムウを襲ったのは更なる暗闇だったんだ。
ムウは持ち上げられて暴れたけれど、顔を覆った布は取れなかった。
それどころか怪しい不審者がムウの足に注射針を刺したんだ。
ムウは意識を失って不審者に連れ去られた。
最初のコメントを投稿しよう!