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小さな駅から黒い煙を煙突から出しながら自然の中を走る。
ガタンゴトンと揺られる中でたまに止まったと思うと汽笛の音が聞え、またガタンゴトンと揺られる。
これを何回も繰り返し、夕方頃やっと目的の首都までやってきた。
田舎の小さな駅よりヒトが多く賑わっている、そんなヒト混みの中でも少し目立つ三人がいた。
一人は異国の服を着た小さな女の子。
一人は黄色い服を着た少女。
一人はその女の子たちに付き添ってやってきたと思われる、フードを深く被った男。
そんな三人は駅の隅っこにいた。
「やっとついたよ……」
ぐったりしているリデアを小さな女の子が支えていた。
「リデア……大丈夫?」
「うん……」
「さて、ここからしばらく歩くのだが……歩けるか?」
「うん、私頑張るよお兄ちゃん……」
「いや、頑張るな……仕方がない、近くのレストランで少し休むか」
「はい……」
「ふぁーい」
*
駅の目の前にある小さなレストランに入り、一息いれる三人は取り合えず紅茶を頼み飲んでいました。
「お兄ちゃんこれからどこに行くの?」
「ん? あぁー……知り合いの独身の家に押し掛けて宿として使わせてもらう予定」
「えっ! それって──」
「迷惑野郎です……」
兄と呼ばれた男はクスクスと笑っている。
「私たちは宿屋かホテルに泊まった方が良いんじゃない?」
「そんなもん今日は人が多くってどこも部屋の空きはないはずだぞ」
「何で?!」
「そりゃぁー……錬金術士の会合があるから」
机にうつ伏せになり嘆くリデアを兄と呼ばれた男はクスクス笑い見ているだけだった。
「あぁー…ヴゥ……」
「そもそも会合って何をするの?」
「そうだな……自分の研究を発表したり…意見を交換したり…たまに別の大陸や島国からの素材が手に入ることがある。 他にも情報交換とかな」
「それで何で私も一緒なの?」
「1つの地域にいても新しい出会いも発見もないだろ?」
「そりゃーそうだけど……」
リデアはため息を付き起き上がり紅茶を一気に煽った。
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