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男は胸と背中に大きな紅い三本の線から血を流し、とても荒い呼吸をしている。
『この傷はドラゴンの物じゃな』
リーリエが冷静に傷の具合を確認している。
『ふむ、どうやら一匹のドラゴンと戦闘中に背後から現れたもう一匹のドラゴンに殺られたらしいのぉ』
このままじゃぁこの人が死んじゃう。どうしたらいいの?
『なんじゃ、この者を助けたいのか?』
「うん、ねぇどうすればいい?」
『うむ、簡単な話じゃ。ぬしが回復の呪文を唱えるんじゃ』
「えーーー、ボクが? ムリムリ、出来ないよ」
あまりの突飛な提案に慌ててしまう。でも、それも仕方ないと思う。
『なんじゃ?その自信の無い表情は』
「そんな決まってるよ。だって、いきなり魔力があるって言われた後、持ってる属性も分からないのにすぐに高度な魔方陣の構築が必要な治癒魔法を使え何て、右も左わからないボクが出来ると思う?」
まず、無理だ!
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