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リーリエの頼もしい言葉を聞き終えると同時に体が急にだるく感じてきだした。
今度は手足の感覚が消えた。
そうしているとひどく怠慢になりかけていた意識が急にはっきりとしだした。
それでも違和感は拭いきれない。
歩こうとしているのに歩けない。手が勝手に動く。
これって成功したのかな?
「どうじゃ?コレが憑依じゃ」
『なんだろう、凄くもどかしい』
目に見えている光景は鮮明なのに自分で目線すらずらせず、体も動かせない。
「じゃろうな。と、憑依の話もここまでじゃ。
治癒魔法を使うから集中する。で、お主も集中して魔力の流れを感じて掴むんじゃよ」
『わかった、やってみるよ』
その言葉を待ってたかのようにリーリエは男の胸に手を当てて魔力を手に溜めた。
なんだろう、この暖かく安心する感覚は? 凄く馴染む。そして、その暖かい何かが集まっている手は神々しく輝いていた。それを確認したリーリエが歌うように呪文を唄った。
「我は今欲す。
目の前の者を救わんと。
この者、龍の攻撃を食らい、その赤き血を流し、地に伏せる。
その消えかけた命の灯火を少しでも延ばさんとし、今魔術を行使する。
『神の癒し』」
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