3821人が本棚に入れています
本棚に追加
/515ページ
「亡属性ってなに?」
「え、あぁ知らないのか?」
「うん」
顔は見えないけど絶対にこの人あり得ない者を見たって顔しているよ、絶対に。
「まぁそう驚くでない。
ところでお前さんはどうしてここに来たのだ?」
お母さんがボクの肩に乗ってフードの人に目を向けた。
フードの人はハッと気付いたようですぐに行動に移った。
「ギルド協会にS級指定森林ベーデェ・リーズに突如、並外れた魔力波を検出と言われて来たのだが。その子でいいな?
魔力が覚醒した子が学園に通わないのは国際協約違反だ。どう言うことか説明を要求する」
フードの人は持っていた剣の先をボクたちに向けて、言わないと斬るっと言っているようだった。
「そちの言い分もわかるが、それについてはリリィにとって辛い過去の事じゃ、見ず知らずの者に易々と言うつもりはない」
さすがお母さん、こんな状況でも臆さないお母さんが格好よく見える。
「無茶なのはわかっている。だがそれでもこの状況で説明を願う」
剣先は完全にお母さんに向いた。しかもフードの人からとても凄い気迫が襲ってくる。
あまりの気迫に汗が出て、凄く息苦しい。
しかしお母さんから別の暖かくて気持ちいい何かがボクの周りを包み込み、それは止まった。
「リリィ、少し待ってくれぬか?」
お母さんの暖かい声が耳元で聞こえてくる。
「うん」
返事をするボクにお母さんは猫の顔でニコリと笑うとボクの肩から降りてフードの人の真正面に移動した。
最初のコメントを投稿しよう!