プロローグ~捨てられる前~

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 いつもは普通に入れた部屋が今日はやけに重々しく感じてしまいます。  ドアをノックしようとすると、待っていたかのように中からお父様が扉を開けて下さり、中に入るように手招きをされました。  入室するとお父様の書斎はいつもとはまるで別の場所かと思うような雰囲気。  いつもは太陽の光が入って来て明るいのに、今日はカーテンで閉められて不気味な感じがします。  そんな部屋の真ん中、いつもは大きな机が置かれていたそこには意味のわからない文字で書かれた丸い魔方陣が書かれている。 「リリィ、この陣の真ん中に入りなさい」  お父様はいつもどおり優しく微笑みながら指示してきました。  緊張が限界すれすれまで達し、もはや夢見心地です。  緊張で右手と右足を一緒に前に出しつつも、何とか陣の真ん中にあるボク一人分ぐらいの小さな円の中に入りました。
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