出逢い

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 掘り炬燵で蜜柑を食べていると、陽子の姉・純子が帰って来た。 「あら陽子どうしたの!?」 純子は突然の妹の訪問に驚いて、陽子の元に駆け付けた。 「お母さんに何かあったの!?」 (ありゃーやっぱり) そう来ると思いつつ、何時も驚く陽子。 「ううん」 陽子は目を丸くしながらも首を振った。  (またか) 正直そう思う。 純子は陽子の顔を見ただけで母の節子を思い出すようで、何時も駆け寄っていた。 「あー良よかった。何かあったかと思うじゃない」 純子はやっと落ち着いて、掘り炬燵に入った。 何の連絡もしないで訪ねると何時も驚く純子。 そんな姿を見る度に悪いことをしたと反省する陽子。 それでもつい足が向く。 それには本当は理由があった。 純子と忍。 この仲の良い歳の差カップルを観察するためだったのだ。 陽子は恋知らずだった。 だから二人を参考にしようとしていたのたった。  「クラスメートが遊びに来てね、送るついでに一駅乗っただけよ。定期券もあるしね。そしたら翼君に、叔母さんに叱られるから上がってって」 「何だそんなこと。それじゃ連絡しようがないか」 二人が話していると、翼が純子にお茶を持ってきた。 「あ、ありがとう翼君。君も一緒にどう?」 「いえ、僕は帰りにお祖父ちゃんのとこに寄ってから戻りますので」 「あっそう。じゃまたね」 掘り炬燵の中から手を振る純子。 翼は一旦外へ出るが、陽子のことが気になりなかなか自転車置き場に行けずに佇んでいた。 「え、送らないの」 陽子は少し上げた腰をゆっくり戻した。 「いいの。あの子は家族だから」 「え、何故?」 陽子首を傾げる。 「ま、色々あってね」 「色々ねー」 陽子は純子の顔を不思議そうに見つめた。 「あ、そう言えばさっき面白いことがあってね」 陽子は翼とのやりとりを話し出した。 何故、こんな話をし始めたなか解らない。 でも陽子は夢中で、自分でも気付かない内に根掘りは堀聞いていたのだった。 「あの子は優しいの。でも……」 純子の言葉が止まる。 覗くと涙を拭っていた。 その途端、陽子の心に温かい物が溢れ出した。
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