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みどりさんが退院する事になった。ある程度落ち着きを取り戻したから、もう大丈夫だろうという事だ。結局、2週間程の入院だった。
「隆之!こっちの荷物も持ってよ♪」
「はいはい」
みどりさんの茶目っ気ある喋り方は、やはり僕の心を優しくしてくれる。
「みどりさん。もう、忘れ物はない?行くよ」
「う~ん…とね。よし!ない!行くぞ♪隆之。」
僕の白い軽自動車に荷物を積み込み、みどりさんの家に車を走らせた。車中で思い出話をしながら走らせていると、あっという間にみどりさんの家に着いてしまった。
「はい!この荷物は洗濯場。その荷物は、私の部屋。ちゃんと覚えてるよね?!」
「当たり前じゃん。んじゃ、持っていくね」
洗濯場、みどりさんの部屋と回っていく。みどりさんとの幸せな時間が、心の中を駆け巡っていた。
2階のみどりさんの部屋から1階の居間に降りてくると、お母さんがお茶と洋菓子を用意して待ってくれていた。
「隆之さん、本当に今回は色々とご迷惑おかけしました。」
深々と頭を下げるお母さんに、僕は慌てて
「大丈夫です。やっぱり、気になるし」と、恐縮(きょうしゅく)しながら答えていた。
「本当よ、お母さん。隆之は、私の為に動くのが大好きなんだから♪ね?隆之!」
「これ!みどり!せっかく時間を取ってくれてる隆之さんに、何て事を!」
「本当に大丈夫です。お母さん。僕は、みどりさんが元気な顔を見られたら、それで充分です」
「あ~!隆之、お母さんにゴマ擦(す)ってるぅ。これ以上は、何も出ないからね♪」
「はいはい。そうですねぇ。僕も期待してませんよぅ」
「本当に、みどりときたら…」
3人の久しぶりの笑顔は、僕達の心を優しくしてくれていた。
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