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「貴殿方の前にあるのは、意志反応型成長武器です
この武器は文字通り、貴殿方の意志に反応して、成長します
まだ、何一つ成長をしていない赤子も同然ですが、貴殿方の助けになるでしょう」
アルテミスがもう一度手を振ると、俺の手に吸い込まれ、二つの銃剣が交差した紋章をつくりだした
妹は、ヘヤピンを外しそこに髪飾りをつけた
「これから転生準備をいたします
しばしお待ちください」
そう言い、アルテミスは消えた
言葉通り、転生準備に行ったのだろう
「アルテミスさん、何か、企んでるね」
妹のそんな物言いに苦笑しながら答えた
「ああ、そうだな」
まず、あちらの不注意で、俺らは死んだのだから謝罪の一言があるはずだろう
神ゆえに人を見下しているのかもしれないが、あいつの性格上あり得ない
よって、俺らの死は、ある程度故意だったと判断できる
さらに、『頼みがある』と言っていたのに、何一つ頼み事をしていない
何か裏があるとしか思えない
それに・・・
「アルテミスは、月と、狩猟の神
命を、生き返らせる権限、ない」
「それに『私達』って言ったしな」
推測をまとめるとこうだ
1 何かあって神は対処を迫られた
2 対処するため俺達を転生させた
3 そのうち面倒事に巻き込まれる
「はぁ、面倒だなぁ」
「そう、だね それに・・・」
妹が悲しい顔をする
「お母さんや、凛姉、きっと、泣いてる」
俺は、二人を思い浮かべる
母子家庭のなか、自分を省みず尽くしてくれた母さん
ご近所というだけで、いろいろ手を焼いてくれた凛
もう二人に会えないとわかり、俺も悲しくなった
「・・・アルテミスに頼んで見ようぜ?
二人が幸せになりますようにってさ
こっちに面倒事をふっかけるんだ、叶えてくれるだろ」
妹を元気づけるよう、心持ち明るく言う
妹はそれを感じ取ってくれたのか
「だね」
悲しみを残しながらも、笑ってくれた
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