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「僕…達矢のこと、ずっと好きだった。…そんなこと伝えるつもりはなかったけどね…でも、本当に見えなくなってしまうのなら、せめてその前に、好きな人が…達矢が、どんな顔でキスするのか、知りたい…」
智耶は顔を真っ赤にして、遠慮がちに言った。
「…智耶…」
「…なんてね。気持ち悪いよね。」
あは、と寂しそうに笑う。
智耶は…一体、どんな気持ちで俺に告白したのだろう。
「…いいよ。お前がそれで心置きなく手術に臨めるっていうのなら。」
俺は、智耶の気持ちに応えてやりたい。
それが、俺にできることだから。
「…ありがとう、達矢。」
俺は、智耶の座っているベッドに腰掛ける。
すると、智耶の両手が俺の頬を包んだ。
そのまま引き寄せられ、ふわ、と唇が重なった。
智耶は何度も何度も、感触を確かめるように、唇を合わせた。
…別に、気持ち悪い、とか、思わなかったけどな…
そう思いながら閉じていた瞼をそっと開く。
すると、智耶と目が合った。
その目は、智耶の気持ちを語っているようだった。
不安。恐れ。覚悟。後悔。愛。…劣情。
どれだけ。
どれだけ辛い思いをしたのだろう。
どれだけいろんな気持ちと葛藤してきたのだろう。
俺は、智耶と視線を絡ませキスしながら、何か熱くて痛いものがどこからかこみ上げてきた。
それをバレまいと、必死に押しとどめる。
「…ありがとう。…心にちゃんと刻んだ。」
やっと唇を離し、智耶は嬉しそうに言った。
「…達矢は、そんな顔しながら、キスするんだね。」
「…どんな顔だよ…」
恥ずかしいのを隠そうと少し拗ねた調子で聞くと、智耶は笑顔でこう言った。
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