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「上るときにエッジを立てるだろ?それと同じだ。よくイメージして……危ない時には俺が止めてやる。だから根性出せ。」
「……ホントに?」
「俺がついてる。信じろ!!」
オレガツイテル…シンジロ!!
信じよう、嘘の無いこの人の瞳を。
私は思い切った。そして……
「できた!!」
「当然だ。次は曲がる練習!!」
「うぅ……オニ!ドS!」
「何とでも言え。ほら、上れ。」
私はヒーヒー言いながら斜面を上った。
「ちょっ…ちょっと休ませて…」
「さっきの感触を忘れないうちにやるんだ。今度は踏ん張る足の力を交互にする。わかるか?」
「……はい。」
「よし。やって。」
ん?曲がった!!…反対も…できた!!
私は下まで滑って、止まった。
「できた!!隆也さん!できたよ!!」
隆也さんはすかさず私の横に立ち、満足そうに微笑んだ。
……優しい笑顔…嬉しい……
「隆也さん、ありがとう。」
「礼なら辛抱強く教えてくれた奥さんに言え。ほら、忘れないうちにもう1回。」
「はいっ!!」
私は急に元気になって、上る、滑るを繰り返す。隆也さんも必ず側に立ってくれた。
「さてと、次はリフトだな。」
「えぇー!!まだあるの!?」
「何言ってる。上から滑って来なきゃ面白くないだろうが。」
「うぇ~ん、コワイ~!!」
「甘ったれ!!得意の意地っ張りはどうした?ゆっくり滑れば絶対できる。」
「……隆也さん、側にいてくれる?」
「うん。」
「わかった。挑戦してみる!!」
隆也さんの後ろについてリフト乗り場に行く。
彼の真似をして、彼と一緒にリフトに乗る。
「はぁ、ドキドキした!!」
彼がフフンと笑う。
晴れ渡った空。風に舞い上がる雪の欠片がキラキラと輝く。
「隆也さんて、何でもじょうずね。」
「あ?何が?」
「この前の野球とか。」
「ああ。負けず嫌いで凝り性だから。」
「自分に厳しいんですね。」
「でもないよ。ただ、実感したいだけ。」
「何を?」
「生きてるっていう…」
「……深いですね。」
「ははっ。ネクラなんだよ。」
…そう言ってそっぽを向いた隆也さん。
何か重いモノを背負っているのかもしれない。
私はなるべくバカっぽく、冗談っぽく言った。
「隆也さんてステキです!!」
彼は横目に私を見て、鼻で笑った。
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