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若者たちが去って行くと、一人の男性が近づいて来た。
「すいません!!僕、遠山カオルって言います。カメラマンやってるんですけど、さっきの滑り、超カッコ良かったね~!!ばっちり撮らせてもらいましたよ!!」
隆也さんはいつものように表情を隠して、カメラマンが差し出した名刺を拒否した。
健太郎さんが代わりに受け取ると、私に渡してくれた。
「あれ、コンテストに出してもいいかな?」
「……あんたの写真だ。ご勝手に。」
「マジで!?ありがとう!!でも、カノジョさん!!僕の名刺、捨てないでね!!」
遠山さんは嬉々として去って行く。
「……さぁ、瑞穂、お待たせ。レッスン再開しよ。」
「はい。」
「オレも教えて貰お!!」
健太郎さんの言葉に、隆也さんは笑った。
瑞穂はかなり上達した。
まだボーゲンだけどちゃんとターンもできる。
時々止まると、楽しそうに笑って、喋った。
彼女と、健太郎と、3人でゴール地点のレストハウスに向かう。
……もう少し、一緒にいたかったな……
集合場所のレストランに着くと、他のメンツが揃っていた。
何やら携帯を囲んで、熱心に見入っている。
……何となく、視線を感じる。
レストラン中の眼が……こっちを見てる?…
俺は振り返る。
何の変哲もない壁。
は?俺?……まさかまたサムライ?
「……なんか…隆也さん注目されてません?」
瑞穂が言った。
「オレたちカッコ良すぎ!?」
健太郎は嬉しそうだ。
「あ!!隆也!!こっちこっち!!」
雄一さんが手招きをする。俺たちは席に着いた。
「これ、お前だろ?」
携帯を見せられた。3人で覗き込む。
動画だ。
ヤベ……俺じゃん…
「あ!さっきの…」
「うわ、もうアップされてんの!?」
「………」
瑞穂と健太郎が声をあげる。
しまった……連中にクギ刺すのを忘れた…
動画サイトにしっかりアップされていた。
あの3人組だ。
「……サイアク…」
俺は髪を掻きむしる。
社長が楽しそうに笑った。
「隆也凄いんだな。お前こんなに上手いのか。」
「リュウさん超カッケー!!さすがアニキ!!」
「ん~、お前、わがプロレス団体に入れ!客が入りそうだ。」
……相変わらずの但と沖田…
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